暗く、静かなスリザリン談話室にて、煩い声が二つ。

「おかしくないか?」
「何がよ」

は些か不機嫌で、マルフォイはもっと不機嫌だった。

「僕は君に告白したんだぞ?!」
「それはさっきも聞いたわ」

目の前の紅茶カップに口をつけながら、が云う。

「あたしも好き、って云ったでしょ?」
「それはさっき聞いた」

目の前のコーヒーカップに口をつけながら、マルフォイが答えた。

「それで、何がおかしいのよ?」
「好きだって云ったのに、それでお終いか、

周囲の空気がしん、となる。
その先は一体何があるというのか、そんな目でがマルフォイを見る。

スリザリン生が、静かに自分の部屋へと戻り出す。修羅場か、甘い現場か。
どちらにも居合わせたくないものである。

「お終いって、どういうことかしら?」

が紅茶のカップを、勢いよくテーブルへ置いた。

「あたしは、あなたが好きなのよ?
 もういいわ。部屋で本でも読むわ!さようなら、おやすみなさい」
「待てよ!」

マルフォイがコーヒーカップを、勢いよくテーブルへ置いた。

「行くな」
「……命令?お願い?どちらにしろいいご身分ね」
「いいから、ここにいろ」

は仕方ない、と肩を竦めて、マルフォイの座るソファに座った。

「……我侭だわ」

暖炉の火が暖かく燃える。



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蘭子/030321



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