ああ。

今日もいい天気だな。

不二はそう思いながら、屋上でぼんやりしている。
雲はゆっくり流れていたし、日の光も優しい。

「こんなことしてたら、怒られるよ」

扉の方向から、ゆっくりはっきりとした声が聞こえた。
振り向くと細く白い足が見えて、目を外す。

「そういう君はどうしたの?」

振り向いて立ち上がると、いつもの笑顔で呟いた。
目の前には色白の少女が立っている。

「疲れたから、休憩」

続けて、勉強嫌いなあたしに六時間授業は辛いの、と笑った。

「そっか。じゃあ、僕も休憩だよ」

またゆっくり腰をおろして、不二は空を見た。
気がつくと少女がゆっくりと近づいてきて、隣に腰掛けた。

「じゃあ、ご一緒していいかしら?不二周助くん」
「いいよ、さん」

と呼ばれた少女は、くすりと笑った。

「部活日和ね」
「そうだね」
楽しい?と、が尋ねた。そうだね、と不二が呟く。

「楽しいよ」
「そう」
「でも、今も楽しい」
「そう」



雲がゆっくり流れる。



「実はね、」

不二がのほうを見ながら呟いた。
その視線に気がつくことなく、は空を見上げる。長い睫が揺れる。

「君を待ってた」
「うん。だろうと思った」



は空を見上げたまま、少し紅くなった頬を両手で隠した。





蘭子/030318

( B A C K )




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