あ つ い ん で す



それはとても晴れた日だった。
チョコミント味のアイスは溶けて、握っている指の方まで流れてきた。

この天気、ただでさえ熱いというのに、目の前の光景はあたしをヒートアップさせる。

ところは昼休みの校庭裏。男と女の深い口付け。
それはどんな映画やドラマよりも刺激的なものだった。

女の方は廊下で何度かすれ違ったことがある。長い黒髪の美人だった。
男の方はよく知っている。外はねの茶髪と、泣きボクロが印象的な。



突然背後から名前を呼ばれたあたしは驚いて肩を大きく揺らす。
拍子にアイスを足元に落としてしまった。

「こんなとこで何しと・・・」

その言葉を言い終わるか終わらないうちに、
あたしの名前を呼んだ主――忍足くんの口を両手で塞ぐ。

忍足くんは一瞬驚いていたようだけど(そりゃ勿論あたしも驚いたけど)
瞬時に場の雰囲気を読んで、あたしの促す方向をそっと覗き見る。

そこではまだ、お熱いラブシーンが繰り広げられている。
あたしと忍足くんは顔を見合わせた。

「跡部のやつ真昼間から何やっとんねん!」
「初めて生のキス見ちゃったよ!」

二人とも吐き出した言葉は興奮しているようだった。勿論小声だけど。
結局二人とも野次馬で、物陰に隠れて二人の様子を見守った。

お、おわわわわ・・・! 女生徒のブラウスはいつの間にか肌蹴ていて、
跡部の腕は女生徒のブラウスの中へ入り込む。

「も、もしかして最後までやる気ちゃう!?」
「マジで!?やばいって!あ、ああ!?」

あたし達は思わず逆の方向に向き直り、壁にもたれて、地面にしゃがみ込んだ。

「うわーマジびっくりした!」
「な、何や意気地無しやなあ」
「そういう忍足くんだって顔真っ赤!」
「え、マジ!?」

後ろの方からはあまり健全とは言えない、艶めかしい喘ぎ声が聞こえてくる。

「な、なんか俺ドキドキしてきたわ」
「あ、あたしも・・・」

胸に手を当ててみると、それはそれは、ばっくんばっくんと心臓は運動していた。
うん、あたしは生きている。

「なんか俺もキスしたくなってきた・・・」
「え!?」

うおお、こ、これは・・・!!
忍足くんの顔がどんどん近づいてくる。め、メガネは取らなくていいの・・・!?





その後どうなったかはご想像にお任せします・・・。










ギリギリです!
あっこ/030318

( B A C K )




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