折れたシャープペンのしんはどこへ飛んで行くのだろう。



( ビ ュ ー テ ィ フ ル ボ ー イ )



誰かが「美しさは罪」なんて言ってたけど、全くその通りだと思う。

・・・ボキッ

カチカチカチカチ・・・

机の上に転がるシャープペンのしんの断片を手で払い除け、
利き手の親指を働かせると、シャープペンの先からはまた新たなしんが生まれる。

・・・ボキッ

カチカチカチカチ・・・

シャープペン使用者なら誰でも一度は経験したであろう単純作業をあたしは繰り返した。
これで一体何度目だろう。あたしが不器用だから?いいえ、違う。全ては彼のせい。

「ねえジロちゃん、ぼーっとしてないで日誌書くの手伝ってよ」
「やだ」
「は?」

あたしが反射的に顔を上げると、そこには至近距離にジロちゃんの顔。
あたしはビックリして、うつむく。

あ、今ドキドキしてる。
心拍数が一気に上昇しているのが分かった。

今日の日直はあたしとジロちゃん。
あたしのクラスは女子が極端に少ないから、
出席番号一番のジロちゃんと一緒になることもしばしば。

そのジロちゃんはと言うと、あたしの前の席のイスに後ろ向きに座って、
あたしが日誌を書いている机に頬杖をついている。

つまり、あたしとジロちゃんの距離は今、とっても近いということだ。

ジロちゃんとはいつもくだらない話でバカ笑いしているような仲だけど、
こんな至近距離で見ると(と言っても恥ずかしいのでよくは見れないけど)
すっごいキレイな顔をしているとひしひし感じさせられる。

うーん、ジロちゃんの場合はキレイっていよりカワイイかなァ。
キレイっていうのは、跡部とか忍足君のことだよね。
(そう、忍足君はああ見えても美人なんだよ!)(ごめんなさい)

「ジロちゃん、部活行ってもいいよ。あとあたしやっておくから」
「いい。めんどい」

ジロちゃんが部活をサボることもしばしば。
これで正レギュラーだって言うんだから、どんなもんでい。
寝ててもテニスはできるっていい見本だ。

「ねえ、男子の体育って何だったの?」
「・・・寝てたから知らない」

あたしは溜息を一つつき項垂れた。
取り敢えずあたしは自分の第六勘を信じて書くことにした。

・・・ボキッ

「ぷっ」

あたしはこれで何度目かであるシャープペンのしんを折るという動作実行する。
故意にやっている訳ではない。体が勝手にやってしまうんだ。
その動作を見てジロちゃんは吹き出す。

「な、笑うなよ」
、不器用」

違うんだって。
これはジロちゃんがカッコよ過ぎるからだよ。ジロちゃんが悪いんです。





あっこ/030318

( B A C K )




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