★*.゚・。 リップスティック ★*.゚・。☆*.゚・。★*.゚・。☆*.゚・。 「いって・・・」 季節は丁度秋から冬に移り変わろうとしている時。 あたしは乾燥してカサカサになった唇を中指で触れながら呟いた。 隣の席の千石君があたしの顔を覗き込みながら「だいじょーぶ?」と尋ねてきた。 「うん・・・多分」 あたしは苦笑いを浮かべながら答えた。ホントは大丈夫じゃない。 最初のうちは舐めときゃ直るでしょ、なんてベロベロ(何か汚い・・・)舐めてたら、 今度は唇が腫れ上がって痛みは増すばかり。 「リップ塗れば?」 「今日忘れちゃったんだよねー」 「貸してあげよっか?」 「え、マジ?」 千石君はバッグの中からMENTURMの文字が書かれた緑のリップスティックを取り出した。 あたしは未だにメンタームとメンソレータムの違いが分からないんだけど、 確かどっちかがニセモノだとかモノホンだとか。 「はい」 「わーありがとー。でも千石君が持ってるなんて意外!」 「キスするときとかね、エチケットとして」 千石君は楽しそうに言った。何問題発言をサラリと言っているんですか。 あたしは苦笑いで受け流す。あたしは早速キャップを開けて、唇に塗る。 ★*.゚・。☆*.゚・. ・・・あれ? ハイせんせー。このリップスティックは千石君も使ってる訳だから、 「ふふ、間接キス、だね」 千石君は、それはそれは楽しそうに言った。 しかもキスのところを強調して。 ポトリ、キャップを開けっ放しのリップスティックはあたしの手の中から するりと抜け落ち地面に落ちそうになったところを、 千石君がキャッチ。ナイスです。 「あ、ごめん」 「いいよ」 リップスティックはあたしの手に戻されることはなく、 千石君は今あたしがしたように、唇に塗る。 千石君はまた楽しそうに笑って、 「ちゃん同様し過ぎだよー、顔真っ赤」 「え!?」 千石君は苦しそうにに腹を抱えて笑い出した。 クラスメイトの視線は何事かとこちらに集まってくる。 あああ・・・見ないで下さい。 唇はひんやりとした心地よい感覚が残った。 ★*.゚・。☆*.゚・。★*.゚・。☆*.゚・。★*.゚・。☆*.゚・。★*.゚・。 初夢にして初テニプリだったりして。 あっこ/030318 ( B A C K ) |
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